これからの「食」について

人間が生活するための必要不可欠とされているものに、「衣食住」がある。そしてその中で、それなしでは生きていけないものが「食」だ。

最近は自分で作物を作り始めた為か、会話の中で「農」に関する事が多くなった。今まで自分は農や食についてほとんど考えた事がなかったので、改めてそういう会話の中で勉強になる事が多々ある。

まずショッキングだったのは、大根の農家の卸値だ。皆さんは大体いくらだと思いますか?

何と今、1本6円だそうだ。

今回の福島原発の風評被害の影響があるかどうかまでは詳しく聞かなかったが、手間隙かけて育てて、1本6円。これじゃ、五円チョコしか買えない。 1,000本売ったって6,000円、燃料代にもならないと思うよ。無いよりマシで、泣く泣く出荷しているのが現状らしい。

次に種の問題。現在様々な野菜の種にF1(交配種)という種が出回っている。以下に詳しい説明を転載する。

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メンデルの第一法則「優劣の法則」により、異なる形質を持つ親をかけ合わせると、その第一代の子(F1=雑種第一代)は、両親の形質のうち、優性だけが現 れ、劣性は陰に隠れます。あらゆる形質でこの優性遺伝子だけが発現するため、交配種野菜は、一見まったく同じ形にそろいます。

反面、交配種野菜からタネを採ると、優性形質3に対し、1の割合で隠れていた劣性形質が現れます。(メンデルの第二法則「分離の法則」)野菜の場合、発芽速度、草丈、葉色、根群、果色はじめあらゆる形質で劣性遺伝子が分離して顔を出すため、F1から自家採種したF2世代は、見るからにバラバラの野菜に なってしまいます。(F3世代は当然もっともっとバラバラになります)

〜中略〜

むりやり人間の話に置き換えるとしたら、日本人の家庭から父親や男兄弟を取り除き、代わりに、人種の異なる外国の男性を送り込んで、日本人の妻や娘との間 に、子を持つことを許されない、一代限りの逞しい戦士を、毎年生ませ続けようとする技術…と、でも言いましょうか。(笑)

野口種苗「交配種(F1)野菜とは何だ?【1】」より転載
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様々なサイトで「F1は危険」と騒がれているが、この野口種苗サイトの説明が一番冷静で分かりやすい。ザックリ言えば、種を蒔いたその年は形の良い、揃った実がなるが、そこから先はバラバラで何が出来てくるか分からないよ、という事になる。つまり消費者が栄養価や安全性はそっちのけで、形の揃った、色合いの素晴らしい野菜しか買わなければ、農家は必然的に翌年も同じ種を購入し再度一から同じ作業をする事になる。こんな非生産的なことが、TVなどのマスメディアに洗脳された消費者のために、日々行われている。

それとは別に、大豆などの「遺伝子組換」は、もっと怖い。上記のF1などは、いわば「品種改良」というべきだろうが、遺伝子組み換えは通常の品種改良とは異なり、じゃがいものDNAにクモの遺伝子を取り出して入れるというように。自然界ではあり得ない生命体を作り出すことを意味する。以下の動画を見てもらえれば、それがいかに重要な問題なのかが分かると思う。

巨大企業モンサントの世界戦略
http://video.google.com/videoplay?docid=2219229390528597169

ある特定の除草剤「ラウンドアップ」に対して耐性のある遺伝子組換大豆「ラウンドアップレディ」とのセット販売であり、なおかつ特許により種子の保存や収穫後の使用ができないという、完全に食を支配下に置くため以外の何物でもない。

危惧すべき点は、遺伝子組換や農薬の毒性もさることながら、作物の遺伝子汚染だ。遺伝子組換された大豆の花粉がどこからか飛んできて、在来種と混じり合う事だ。そうなると「特許」を理由に、自由に作物を作る事ができなくなる。すでにアメリカでは現実に起こっていて、食の支配が着実に進行している。

そして日本は関係ないと思っている人が多いだろうが、農林水産省にて

「遺伝子組換えセイヨウナタネ、トウモロコシ及びワタの第一種使用等に関する承認に先立っての意見・情報の募集について」
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=550001373&Mode=0

との発表が2011年5月23日にあった。そして2010年12月にはダイズに関するパブリックコメントも存在していた。つまり、食の支配は着実に日本へも進行しているという事だ。そして「農家の低所得」「連作不可能な改品種」「遺伝子組換による種の汚染」、これら3つの大きな要因に加え、TPP加盟などとなれば、完全に日本は自力で生きていく術をなくす事になる。

じゃあこれからどうすればいいかって事になるが、その為には一人一人の食に対する意識の変化が必要不可欠になる。今日自分が口にしたものが一体何なのか、実体を知る必要がある。

余談だが、この様な実験もある。

そして実体が何かを知れば、何を「買う」べきか自ずと見えてくるのではないだろうか。今回の震災に限らず、政治はハナからアテにならない。そんなのはもう、みんな分かっているだろう。しかし自分たちには、「お金」という投票手段がある。何を買うかによって、然るべき状態を作る事ができ、より豊かな循環が生まれる。そのためには、やはり一人一人が実体を見極める力が必要不可欠。かく言う自分も、現在勉強中だ。

生活に関わる、ありとあらゆるものについて同じ事が言えるだろうが、生きる為の源、体を作っているのは「食」(水も含めてね)。まずここを徹底的に正常な状態にする事が、今の最重要課題だと思う。

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